共同宣教司牧ニュース 32号

チームメンバーからの発信コロナ禍で信仰者としての自分が気付いたこと、変わったこと 2

「しないことではなく、何ができるかを考えること」

菊地育子( マリアの宣教者フランシスコ修道会 )

ミサ典礼、礼拝はまさに三密であった。そして、これまで当たり前であったことが、できない事態となったのは初めての体験。
自らを感染から守ることが他者への配慮になると言われ、高齢者が多い修道院では、とにかく感染しないことを第一に、これまで以上にいろいろな意味で守りの体制に入っていくようだった。しかし、大聖堂に鍵をかけ、お断りの張り紙をしたときには、悪いものは外から入ってくる、とでも言っているような気持ちになった。コロナ禍にあっても、修道院の生活そのものは大きく影響はされていないのは、もともと人々との関わりが少ないことの証拠だろう。
信徒の方々のいないミサは寂しく、やはりミサは三者交流であると改めて感じた。私たちに求められているのは、祈りのうちに、苦しむ方々との連帯、神さまへの信頼のうちに執り成しの祈りをささげること。しかし、共に祈ることは、何よりの力であり喜びなので、少人数でも共に祈りの時を持てるようにしたい。
新たな方法、発想の転換、柔軟な考え方をするために、正確な情報、努力、エネルギーが必要と感じた。しないという判断よりも、何かできることを考えることの大切さを、チームメンバーから学ぶ。

「コロナ禍で信仰者として気づいたこと」

西岡まゆみ( べリス・メルセス宣教修道会 )

毎日の面会から、面会禁止が続きそして、一週間に一度5分、はがきで家族の情報を伝える。電話でのコミュニケーション、窓越しでの対面」コロナ禍で病院入院や施設入所の方たちとのつながりが制限されることになってから一年になろうとしています。そして今また緊急事態宣言が出されている。教会に行けない、仲間に会えない、お見舞いに行けない、家族なのに面会できない。孤独と孤立の中にいる人。など不安と落ち着かない生活が続いている。その中で人と人が繋がることがどれほど必要で、大切な事かを身をもって実感している。
今まで普通に当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなく特別な毎日だったのだと気づかされる毎日です。
在宅介護をしている家族を、訪問診療や看護師さん介護職の方たちは本当に心から気づかって、配慮してくださっていることもありがたいと思います。介護職の方が「今はとても大変ですが、介護を受ける方たちをお世話できることは本当に喜びです」と話してくださった言葉が心に響いている。人々の気がかり、苦しみが多くなって、その一つ一つを取り除くことができない中で、自分の気がかりを気遣うことも後回しにして、相手の方の気がかり苦しみを気遣う医療従事者、介護職にある方たちの日常は不安と恐れより、今目の前の生命を大切にするという姿に希望を見ます。その方たちのために祈ること。
私が今できることは限られている。日常を生きること、静かに落ち着いて周りを見渡せば、見えてくること。今までやってきたことを、方法や形を変えること工夫すること。訪問できなければ、手紙やはがきで、電話で、孤独や孤立の中にいる人を気遣うこと、繋がることは出来る。そして祈りは必ず聞きとどけられると信頼して祈ること、祈りで繋げられること、それはいつでもどこでも出来る事でもある。今まで以上に祈りの力を信じ祈っている。

コロナ断章

花島克彦( 逗子教会 )

2021年の新年が明けた。
コロナで世界中が翻弄された一年だったが、今また強烈な第三波が列島に牙をむいている。元来パンデミックとは歴史上の出来事としてしか認識していなかった。
ローマ帝国時代からの天然痘、そしてマラリア。14世紀のペスト、19世紀のコレラ、20世紀初頭のスペイン風邪。
今その歴史が現実のものとして目の前に出現して人は戸惑う。
見えない敵との果てしない戦いに、自分の小ささと無力さを感じ疲れ果てる。
この一年間パンデミックに関し、世界中から映像が流された。
最初の衝撃的シーンは米国ニューヨーク。野営病院と化したセントラルパーク、そして急増した死者を安置するための急ごしらえの大型冷凍車。
それでもイタリアの病院屋上からは、少女の奏でる癒しのバイオリンの音が流れ、世界の著名歌手たちは、オンラインでこぞって医療従事者を称え、はげました。
磁石の針がどこに置かれても北を指し示そうとするように、人はいつも希望を求めて進もうとするものなのだろう。

ギリシャ語で時を表す言葉に「クロノス」と「カイロス」がある。
「クロノス」はクロックの語源であり、過去から現在、未来へと規則正しく進む量的時間の流れであり、「カイロス」とは一瞬ではあるが、心に深く刻まれる運命的な出来事のこと。それゆえ過ぎ去ることのない永遠の時となる。

人は今、早くコロナ禍が過ぎ去り、元の社会生活へ戻りたいと願っている。信仰共同体としても、「主に呼び集められたもの」として本来のミサ聖祭への一日も早い復帰が待たれる。それは当然のことといえる。

でも私はクロノス的感覚だけで、元に戻ってハイお終いで本当に良いのかちょっと疑問だ。コロナ禍は、現在進みつつある世界の深刻な課題を先取りして炙りだしてきている。例えば貧富の格差、人種差別、大国の争覇、人々の分裂、孤立、孤独・・・。

もしかしたら主は、このパンデミックの現実の歴史をなかで、ちょうど旧約の歴史を通しイスラエルの民になされたように、数々の問いかけをなされているのかも知れない。希望への指針に導かれて、私たちは、場合によっては不条理とも思える問いかけにも、今こそ自分なりの返信を出し続けることが大切だと思っている。


この春、私たちの司祭が誕生します。お恵みに感謝し新司祭のために心を一つに祈りましょう

ルドヴィコ茨木西村英樹 助祭( 鷺沼教会出身 )3月20日( 土・祝 )於 鷺沼教会

ルカ上杉優太 助祭( 静岡教会出身 )4月29日( 木・祝 )於 静岡教会


お知らせ( 編集後記に代えて )

1. 今年のチームのテーマは・・・
「信仰者として生きる私たちの思いを繋げる」。三者 ( 信徒・修道者・司祭 ) が協働して、キリストを証しするための、具体的なサポートを目指しています。
2. チームのウェブサイト ( ホームページ )を開設します!
講座一覧、募集要項、『 デジタル版共同宣教司牧ニュース 』も順次掲載予定です。私たち、逆境に燃えるタイプかも( 都 )

共同宣教司牧ニュース32号 発行:共同宣教司牧サポートチーム神奈川責任者:鈴木真( 座長 山手教会 )

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